B.W.T. 雑記帳 Miscellaneous notes

【アニメ リーンの翼 感想 第6話】

第6話「桜花嵐」
最初は自分実況の羅列
・サコミズやっちゃった。ビルを切っちゃうとさすがにショック
・でも東京駅は壊したくなかったみたい
・アメ公はなんでフガクに時限爆弾??
・カスミはなんで「サコミズを倒す」ってことになっちゃうわけ?
・なんで、東京に核で消費文化が止まるんだよ!
・頭ひやす以前の問題だろ!
・キスキスキス あついなーひえーエロー!!!
・ガンズ死んだ。エイサップは殺さないと思ってたんだが
・ロリ・・・そこまでバカとは・・・つきぬけてしまった
・アレックス・ゴレムじゃなくてアレックス・鈴木なのな
・結ばれないのか・・・・

途中自分実況さえ止まってます。
サコミズがやっぱすごすぎて、主人公だったなぁ。
やっぱサコミズから語りましょうか
東京を破壊

東京を制圧

東京を核で消滅

東京を核から守る

とこう書くと支離滅裂な行動ですが、愛するがゆえにそのゆがみを憎み破壊し、消滅を願いつつ、それを守るという愛憎の多面性をこの1話に、そしてこの1人物におさめてしまった富野さんの手腕には脱帽。
シャアとアムロの場合、地球に対する愛憎の愛と憎が二人の人格に別れてしまっているのと、地球という対象が大きすぎて実感に乏しかったとこれを見て思う訳ですが、これが日本国に対する愛に狭めてもらうと、より実感がともなって胸に来ます。

今の日本はどこかゆがんでいる。
そう実感している人はたぶん大勢いるのだろうと思います。

「これがあの膨大な死者を出した結果なのか?」
あの大戦の犠牲者が今の日本を見てどう思うだろう。
「ゆるせるかぁ!」
というサコミズの言葉にそうだろうなと思う。
この感情をいさめる理屈は、結局最終話では提示されませんでした。

この感情をいさめたのは理屈ではなく、感情。それも過去からの手紙によってであったということが悲しくも真実なのだろうと思います。

話がちょっとそれるようですが、「英霊に対し感謝の念を捧げる」という言葉に自分はひっかかりを感じていました。
「感謝」とは「ありがとう」という言葉を伝えること。
「戦ってくれてありがとう」「死んでくれてありがとう」これは何かちがうんじゃないか?
ありがとうと言うのは、してもらった人もしてあげた当人も共に笑顔になれる時につかう言葉のような気がします。

そのひっかかりに対して、サコミズの心変わりのシーンで答えをもらったように思えました。

「生き神様でした」

のあとの言葉は、褒め称えてくれたでもなく、感謝してくれたでもなく

「憐れんでくれた」

という言葉でした。サコミズは戦火の中に放りこまれた人々を哀れみ悲しんでいます。でも、サコミズ自身も憐れんでほしかったのです。
国家のためとはいえ、自分が死ななければならない。それが簡単に受け入れられるはずがない。それでも無理をしてどうにか自分を納得させて、せめて自分の死が残って生きる人にとって意味のあるものなのだと何度も自分に言い聞かせて、死出の旅路に出た。
そんな境遇に追い込まれたことを、共に悲しんでくれる人がいる。
それが最大のなぐさめになったのでしょう。

ネットで特攻人形を検索したのでこちら
本来、特攻人形は隊員と共に散ってしまうものなので、残っていないそうですが、ある隊員が遺書と共に特攻人形を残してくれたそうです。その遺書を引用します

『お人形よ、はるばる遠い島迄きて、毎日みんなをなぐさめてくれたね。ありがとう。誰もいなくなったら田舎のお母さんの所に帰って、いつでも可愛がって貰いなさい。さようなら。』

物語では、サコミズを含むリーンに取り込まれた英霊、犠牲者たちの魂をしずめたのは、結局同時代の命の手紙「特攻人形」であり、21世紀の日本人には慰霊をすることは出来ませんでした。
サコミズも今の日本をよしとして散っていった訳ではありません。

我々には慰霊をすることは出来ないのか?
富野監督は、それに対する答えも明示してくれているのだと思います。

自分はパフォーマンスで靖国参拝をするような政治家は好きではありません。
本当の慰霊というのは、お盆にちゃんと田舎へ帰って、山の上のお墓へ行って、ヤブ蚊にさされながら墓の周りの草をむしってきれいにして、お祈りをしてくることじゃないでしょうか?
そういう一昔前なら当たり前のことを、きちんとやることが本当の意味で日本の伝統や文化を尊重することになるんではないでしょうか?

サコミズのこととは話がそれてしまった感じもありますが、サコミズ王というキャラクターはこういうことを考えさせるために存在したと言えるでしょうし、これと向き合わずにサコミズ王を語ることも出来ないでしょう。




あとは、雑多な感想。といってもそれぞれ一本づつテーマとして書けそうですが

意外だったのが、ロウリの存在。行動に脈絡がなくただのバカだなぁって見てましたが、核で東京を攻撃するなんてバカを突きぬけて2度ほど裏返ってしまったほどのインパクトでした。
ヘタするとこいつがラスボス?っていうほど急成長。って急成長って言葉よりも存在感のハイパー化というべきか。
第1話から不思議な存在でしたが、結局最後までわからずじまい。
昨今の事件(加藤議員宅への放火切腹とか、のまネコの社長殺人予告とか)を見るに、日本でテロがおこるとしたら宗教がらみじゃなくて、こういう目立ちたがりの理解不能なバカが起こしてしまうんでは?と思ってしまいます。
その意味ではロウリというキャラはリアルなのかなぁと。

そのロウリに付き従う金本というキャラ。
「ここはロウリの好きにさせろよ」
とかのセリフで見るに、金本は最初の米軍テロの時から、この気分でずっとロウリに従ってきたのかなぁと。
裏トミノでソレな裏設定してましたけど、ホントロリっこだったわけですね

それと
「エイサップだって差別されてたんだろぅ!」

フジムラさんから教えてもらったんですけど、∀のロランを演じてた朴ロミさんは在日の方だったんですね。だから、ロランの「ムーンレイスなんですよーー!!」ってセリフや、心理の揺れ動きが胸に来たんだなぁと改めて知りました。
加えて、そういう魂をさらけ出させるような配役で演出させる富野さんは鬼だなと。
話はちょっとそれましたが、「エイサップだって」というセリフにはエイサップに対しても同類の親しみを感じていて、それでも対立しないといけない不運を嘆く気持ちと、この破壊的行動を理解できるだろうという気持ちが示されててスゴイなと思いました。

ここだけじゃなくて、この6話にはひとつのセリフでその背景をパッと理解させるセリフが多くて神脚本ですよ

たとえば、最後のエイサップおとんが
「エイサップの父親のアレックス鈴木です」
と自己紹介するんですが、本当ならアレックス”ゴレム”のはずなんですよね。
鈴木と名乗ることで、アレックスが家族としてやり直そうとしてる意志が分かる。

そう、意外だったもう一つが、この短い尺の中で鈴木家の家族の和解まで描いてしまったことです。話的にはサコミズが東京を守ってバイストン・ウェル軍が帰ることぐらいで話を締めてもいいぐらいだと思うんです。
でも、この家族の和解が無理矢理ねじこんだという感じもせずにすんなり入れられてるのがスゴイ!
富野さんがこうした家族の和解を描いたのって初めてじゃないですかね?
「あとでいっぱつ殴らせろよ」
「いいよ」
ってやりとりも、「いいよ」って言い方がとても爽やかで、ああ、このあとちゃんと家族をやっていけるんだなぁと感じさせる声優さんの力量がスゴイ!

よくアニメで神作画とか言われますが、今回のは神演技と言ってもいいでしょう!
尺が短い、ゆえにセリフと長々としゃべることが出来ない、ゆえの神脚本だったと思うんですが、演技がダメダメだったら台無しです。
その短いセリフにその背景を感じさせる演技があったからこそであったと思います。

「コドールのしとねは暖かいよなぁ」
「うひゃひゃぁはぁ」
のコットウの笑いはもう間男のソレの時にしか出せない笑いですよ!笑いだけで、あぁ関係があったんだなとはっきり分からせてしまう神演技!
「コドールのしとねは・・」のセリフも暖かさだけじゃなくて、湿り気や香りまで感じられる言い回しで好きですねぇ
それをドスのきいた声でやられると、コットウも思い出しちゃったんだろうなwという感じと、サコミズはなんだかんだコドールに惚れ抜いてたんだなぁと分かります。

「あぁ、エイサップ」
のとこ、たぶん監督の演技指導が一番熱が入ったとこなんでしょうねw
画面見てても赤面もんですが、声だけ聞いてたら正直半田地ですよ・・エロすぎる・・・これが演技なんだから女は怖いなぁ

「エレボス、ワーラーカーレンへ帰るぞ」
っていうエイサップの少しふるえるような声に、死を覚悟したんだなと感じることができる!こちらの心も震える!

「生き神様でした・・・」
この声は誰か分からないけど、これだけで悲しみをたたえた声。
「そういって、憐れんでくれた」
このサコミズの泣き声はなんべん聞いてもうるっとなってしまう。それぞれの動きの理屈が分からなくても、この辺の演技が神懸かってるので勢いでみんな流されてしまうんだろうなぁ
結局、コドールやロリのやりたかったことが不明にせよ

そしてラストシーン
第1話で見るかぎり海の水は冷たくない模様。それと服装から真夏の事件ではない。とするなら、第1話は6、7月か9、10月ごろと推測。
最低でも桜の季節まで半年以上はあったと思える。てかあってほしい。
ラストはやっぱファウファウっぽいよね。
「エイサップ、私怖い。これからどうなるの」
これは本能的に別れの時が近づいているのが分かるからだろう。
リュクスが消えた後のエイサップの表情も「いずれバイストン・ウェルへ彼女は帰る」ことが覚悟出来ていたようにも見える。
それでも発さざるを得ない「リュクス!」の叫びもまたいい演技なんだよなぁ

そして桜。日本人はなんで桜がこうも好きなのか?ファウファウではブナの木がファウファウを帰す役目だったけど、今回はサコミズの呼びかけで桜の花たちがその役目だった訳だ。
その消え方もファウファウ物語の「ヒョイと引き込んだ」って感触に近い。

唐突ですが、自分がこのサイトを続けている情念の根っこには、
ダンバインのラストでのたった一人のチャムが哀れでならない
故にチャムの残したバイストン・ウェルの物語を語り紡いでいかなければ
というロマンチシズムがあるのです。

それが、このラストシーンを見て、こんなにたやすく、こんなに優しくバイストン・ウェルに帰れるなら、きっとチャムもあのあとバイストン・ウェルに帰ることが出来たんだろうと思えてしまいました。
少なくとも、今の富野さんが新訳ダンバインを作るならきっと帰してくれるのだろうと思えます。
その意味で20数年の情念が鎮魂とは言わないまでも、鎮められてしまった感がありヤバイなぁというのが正直な感想です。

最後に、熱演してくれた声優の方々、裏トミノで楽しませてくれたスタッフの方々、他この作品を送り出してくれたスタッフの方々、そして富野監督に「ありがとう」の言葉を述べて締めさせて頂きます。
ありがとうございました!

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